2011年4月期ドラマ総決算2011/07/02

今期は震災でスタートが遅れたドラマが多かったせいか、終わるのもギリギリでした。そして何故か来期は始まるのが早いよ。やっぱり世間的には能天気なスペシャル番組なんかあまり作ってられないって感じなのかな。

●第6位

遺留捜査 テレビ朝日 水曜夜9時
遺留品から被害者が何を思い何をしようとしていたのかを探り、事件解決はそっちのけで遺族とのわだかまりを解くというコンセプトの刑事ドラマなのだが、途中事件解決に導く情報を得られることも多く、たまに主人公・糸村が解決してしまうこともあった。出来不出来の差が激しく、神回と思われる回もあれば、終わってみれば謎だらけという回もあったりした。正直上川はあまり好きではなく、糸村が他の刑事たちから忌み嫌われているという設定も、見ていてちょっとつらいものがあった。チームワークを見せるドラマでないならば、もうちょっと主人公の個性に光るものがあった方がよいと思う。

●第5位
BOSS フジテレビ 木曜夜10時
こんなもんかなとは思うけど、やはり某事務所からゴリ押しされたハセキョーが酷かったというのが全体的に見て最初に出る感想。戸田・吉瀬枠をハセキョー・成海で埋めるのは無理だったな。ラスト2回あたり、詰め込みすぎてウリのコメディーパートがろくろくなくて、ラストシーンもグダグダだったのがイマイチ。あれなら出来の悪い回を1回削って、3回くらいかけてもっとじっくり描いた方がよかった。次はSPなんだか映画なんだか連ドラなんだかわからないけれど、もしあるとすれば、ちゃんと戸田や吉瀬のスケジュールも押さえてやってほしい。

●第4位
マドンナ・ヴェルデ NHK 火曜夜10時~
生命の禁忌という難しいテーマを、母性豊かな楽天家の中年主婦の視点で、ふんわりとやわらかいフィルターにくるんで描いた珠玉のドラマだった。50代の出産や老いらくの恋というともすれば下世話な話になりがちなネタを、うまく料理していたと思う。テーマのわりにセンセーショナルなシーンはなく、静かにしっとり見ることのできた大人向けの雰囲気もよかった。バチスタとはまた趣きの違うヒューマンドラマに仕上がっており、特に女性の心理をよく描けているところに、海堂が単なる医療ミステリー作家の枠を破ることができたと評価できる。

●第3位

ハンチョウ~神南署安積班シリーズ4~正義の代償~ TBS 月曜夜8時
今回もいつもと同じ感じだったけれど、特に桜井が張り込みするエピソードと、最終章がよかった。初めてハンチョウおもしれーじゃんと思ったシーズンだったかも。シリーズを重ね、それぞれ刑事の個性もはっきりしてきたことだし、キャラドラマにしてしまってもいいと思う。あと、毎回ハンチョウ無双は面白くないので、脇の方々にも花を持たせてあげて。3まではしっかり出ていた安と細川の露出があまりなかったのも気にかかる。

●第2位
霧に棲む悪魔 フジテレビ 月~金曜昼1時半
途中少し中だるみの時期もあったが、序盤、終盤の展開は目まぐるしく、特に最終週は1週では足らないくらいのボリュームが詰め込まれていた。ラストはちょっと寂しい感じだったけど、古い海外のミステリーをうまく換骨奪胎し、現代の日本の物語に変えていたと思う。どうしても連ドラの性質上キャラ数が少なく予算も限られているせいか、セレブの世界をうまく表現していたとは言えないが、それに余りあるキャラの魅力とストーリーの起伏があった。昼ドラが毎回こんなに面白ければ見るんだけど。でも継続して見るには時間的にはやっぱりきついものがある。

●第1位

JIN-仁- TBS 日曜夜9時~
毎回始まるのが楽しみなドラマだった。今シーズンは前シーズンと比べ、龍馬暗殺の前フリとして歴史ドラマの側面が大きかったが、歴史ドラマ大好きですから! ただ歴史ドラマパートが多くて、前シーズンほど医療パートが楽しめなかったというのもある。仁先生はしょっちゅう頭痛に苦しめられてたし。最終回の終わり方は、切ないけれど順当だったと思う。仁先生が現代に戻ってきてしまったので、JINはこれで完結なんだろうけど、原作にあったような医療エピソードをいくつか絡めて映画とかできるんじゃないだろうか。優良ソフトだけに、これで終わらせるのはもったいない。番外編に期待したい。


終わってみれば、JINの不動の1位以外、自分でも意外な順位となった。正直3位以下の評価はそれほど変わらない。ハンチョウが躍進したのは私の中ではキャラドラマとしての地位を確立したため。逆に期待していたBOSSが低めに終わったのは、ひとえにハセキョーのせい。ストーリーも回によっては酷いものがあったが、コメディーパートで楽しめたのが最下位にならずにすんだ理由。マドンナヴェルデは意外な伏兵で結構楽しめたが、今考えるとちょっと地味だったかな~とも思う。遺留捜査はいい回もあったので、続編があるなら全体的なクオリティアップを希望する。多分一番伏兵だったのが悪魔くん(御田園役の戸次の言葉を借りてw)で、冗長なシーンもあったが、謎に次ぐ謎、意外な展開で終わりまで楽しめた。長さ的には1週で連ドラの2.5倍の長さがあるので、同じ土俵で語るのは多少酷かもしれないけど。
今期は震災後の自粛ムードのせいで夜の在宅率が高かったのか、ウケるドラマの視聴率はかなり高かったが、反面微妙なドラマは視聴率が10%前後に低迷するという、明暗が分かれたクールだった。また、本命JINと私は見てないけど大穴マルモのおきての戦いも見ものだった。娯楽の多様化やビデオ録画の簡易化などで視聴率低迷が叫ばれる昨今のドラマだが、ニーズに合ったものを作ればまだまだ数は取れるということを証明したようなクールだったと思う。まぁ40%とかいうお化けドラマは、若い頃のキムタククラスの大スターが出てこないと無理だと思うけどね…。

夏目友人帳がまた始まったよー!2011/07/06


今時アニメはたくさんありますが、10代~20代が対象のアニメが多い中、この「夏目友人帳」は主人公こそ高校生ですが、内容は年齢を問わず楽しめる良作。今回で3rd seasonとなるこのアニメ、原作はLaLaに連載中の少女漫画。舞台は現代の田舎町で、妖怪(この作品では-あやかし-と呼ぶ)が見えてしまう男子高校生・夏目が主人公。
夏目は同等かそれ以上の力を持ち、若くして死去した祖母・レイコの能力と、レイコが残したの名前が連なる「友人帳」なるものを受け継ぎました。この友人帳、単なる名前を書き残したものではなく、レイコが各地で戦って勝った相手のの名前が書いてあり、持ち主はそのを呼び出すことができるという不思議な力があります。名前を書かれたは、名前を返して欲しいと夏目の元を訪ねてきたり、友人帳そのものを奪いにきたりします。夏目は、おとなしい相手にはきちんと名前を返す儀式を行いますが、まだレイコのような力の使い方を知らないので、強いには歯が立ちません。
そんな時夏目の力になるのが、常にそばにいて彼に力を貸してくれる強力な「にゃんこ先生」です。本当はと言い、巨大な犬のような姿をした優美な妖怪なのですが、普段は丸っこい猫の格好をしているため、にゃんこ先生と呼ばれています。にゃんこ先生もまた、夏目の友人帳を狙っているのですが、友人帳夏目が死んでからでも奪えると言い放ち、今は夏目の養子先の家の飼い猫としてぬくぬくと暮らしているのです。この何とも緩いバディ関係がいいですね。
夏目の周囲はほとんど一般人なので、夏目のように普通にを見ることができる人間はいません。しかし、ある時から妖祓い人の家系で俳優をしている名取という男と知り合ったり、陣の中だけを見ることができる少女・多軌が同じ学校にいることがわかったりします。夏目名取を通じ、妖祓いの世界を知るのですが、妖祓いの世界ではは敵としてしか見なされず、祓うか使役するかのどちらかしか選択肢がありません。しかし夏目は心優しい、悲しみの深い、人間が好きななど、様々なに触れ、妖祓い人のやり方には疑問を感じています。
夏目は今でこそ優しい藤原夫妻の家で落ち着いて暮らしていますが、孤児だったため幼い頃からあちこちの家をたらい回しされた経験があり、また人に見えないものが見えることから気味悪がらることも多かったため、人間不信で孤独でした。そんな夏目が様々なに出会い、様々な思いに触れ、いろんな事件に巻き込まれたり、彼なりの解決法を見出しながら、精神的にも成長していく物語です。
原作が少女漫画なので、あまり派手なアクションシーンはありません。また舞台が田舎町なので登場人物も限られており、全体的にまったりのんびりとしたムードです。だがそこがいい。1st seasonと3rd seasonはエンディングが中康介なのですが、いつもちょっと切ないラストにこのエンディングがかぶさってくると、滂沱できます。特に1st seasonの曲はよかった…。また出てくるも、水木作品に出てくるような(というか水木作品に出てきたから有名になったような)メジャーな妖怪ではなく、この作品オリジナル?と思える多種多様なで、中には名前すらわからないものも結構います。
全体的には古きよき日本の姿、そして暗い所や人里離れた所が怖かった時代を髣髴とさせる、ゆったりとした、それでいてちょっと切ない感傷を味わえる良作、ハマる人はどっぷりハマれる作品だと思います。2nd seasonである「続・夏目友人帳」まではDVDも発売されていますので、こんな世界に興味がある人は見てみてはいかがでしょうか。ただ、少女漫画原作なので、出てくる若い男性が皆美形に見えるのはお許し願いたい。

2011年7月期ドラマファーストインプレッション2011/07/23


●絶対零度~特殊犯罪潜入捜査~ フジ 火曜夜9時
前と部署が違い、絶対零度というタイトルが浮いているのに、なぜかメインキャストはほぼ変更なしという不自然さを感じる設定。いっそのこと別のドラマにした方がよかったんじゃないのか。内容はライトな外事警察。そこそこ面白いが、何故長嶋が泉をこの部署に呼んだのかわからない。一番向いてない性格だと思う。そのへんがこれから明らかになっていくのかな。新レギュラーの桐谷はいい感じ。彼が今後のポイントとなってくると思う。
オススメ度 ★★★☆☆
内容的には面白いと思うが、コンセプトがあやふやな上パクりっぽいのでマイナス1。

●チームバチスタ3 アリアドネの弾丸 フジ 火曜夜10時~
3rd seasonを向かえ、主だったキャラクターがそのまま登場し、安定感たっぷり。原作は駄作との評判だが、関テレならうまく味付けして面白くしてくれるんじゃないかと期待している。人気に頼らない新しいキャストも魅力。特に医師役の安田と刑事役の中村には期待している。初回も最後に今回の核となる殺人事件を持ってきて、途中人情話を盛り込んでも甘くなりすぎず、いい構成だった。今後の展開が実に楽しみだ。
オススメ度 ★★★★☆
個人的には大好きだが、シリーズ物なので初見だと厳しいところがあるのでマイナス1。

●新・警視庁捜査一課9係 テレ朝 水曜夜9時
初回、いきなり鑑識の米沢さんが出てきてびっくりw 村瀬が異動してその代わり新人が入ってくるということで期待していたのだが、あっという間に元の鞘w 青柳が主任になり村瀬が係長からヒラ刑事に降格され、いつもと違う力関係を楽しめそうだ。今回はどの程度刑事たちの私生活を描いてくれるんだろう。それとやっぱり加納無双で終わるんだろうか。あまり期待できないが。
オススメ度 ★★★☆☆
キャラは立っているが毎回同じパターンで解決するところがイマイチ。マイナス1。


●ブルドクター 日テレ 水曜夜10時
キャスティングや内容でかなり期待していたのだが、自分的には今のところ稲垣が癌であまり楽しめてない。内容的にもバチスタとかぶる部分があり、あちらはかなり専門的なところに突っ込んでいるのに対し、こちらはただアメリカ帰りの女医が暴れているといった感じ。ただ、事件の内容如何によっては楽しめそうではある。石原は相変わらずたらこで美しい。志田の存在意義が謎。
オススメ度 ★★★☆☆
期待作だっただけに思ったより面白くない。マイナス1。


●陽はまた昇る テレ朝 木曜夜9時
学園×警察のいいとこどりドラマ。主人公の鬼教官が今の時代には目新しい感じ。最近の学園ドラマと言えば、腫れ物を触るように生徒を扱い、最後には予定調和でなかよしこよしというのが多いが、それとは一線を画すところに好感が持てる。またミステリーファンにとっては警察の実態が少しでもわかるところが嬉しい。
オススメ度 ★★★☆☆
思ったより面白いが、元々学園モノは苦手。マイナス1。


●名探偵コナン 工藤新一への挑戦状 日テレ 木曜夜11時58分
バーローと言う溝端がちょっと恥ずかしそう。蘭が凶暴。やはりキャスティングで原作とはちょっと違う雰囲気。トリックもそれを見破る方もあまり練り込まれていない感じがする。まぁ最近は原作の方も強引なことが多いが…。深夜ドラマでしかできないような内容を期待していたが、今のところそれほどでもない。かといってネタドラマとして楽しむほど破綻もしていない。微妙なスタンス。ファンなら。
オススメ度 ★★☆☆☆
駄作を通り越して珍作だが、コナンというタイトルに挑んだ点でプラス1。


●ジウ~警視庁特殊犯捜査係 テレ朝 金曜夜11時15分
始まるのが遅すぎる。がんばっているとは思うが、黒木のキャラがイマイチ魅力に欠ける。女性なら誰しも多部の方に肩入れしてしまうだろう。事件の方はまだ海のものとも山のものともつかず、ジウが一体どんな人物なのかわからない。これからに期待。
オススメ度 ★★★☆☆
判断に困る段階。これからの展開により★の上下はありうる。

●ドン・キホーテ 日テレ 土曜夜9時
自分的には小林聡美がちょっとウザいが、キャストの演技力には問題なし。高橋って本当にいい雰囲気を持った役者だ。内容も任侠物のようできちんと社会問題を扱っており、任侠ヘルパーを思い起こさせる。ただあれよりはかなりコメディー寄り。難しい子供たちに関する問題を、任侠とコメディーでどれだけエンタテイメントに仕上げるか見もの。今のところ期待した通りに面白い。
オススメ度 ★★★★☆
充分面白いのだが、深刻な社会問題とコメディをどう掛け合わせるかで★の上下はありうる。


●テンペスト NHK-BSプレミアム 日曜夕6時45分
美しい沖縄の風景や民俗を背景に繰り広げられる壮大な歴史ドラマ。といっても沖縄の歴史を知らないので、どの程度史実が盛り込まれているのかわからない。でも面白いからいいじゃない。スピーディーな展開で毎回飽きさせないというか、多少速過ぎてもうちょっとゆっくり描いてもいいんじゃないのと思うこともある。大河よりずっと大河らしいドラマ。これは当たり。
オススメ度 ★★★★☆
面白いのだが放映時間やチャンネルなど、ちょっと敷居の高さは否めない。



完全オリジナルで任侠物が苦手でなければ誰にでも楽しめそうなドン★キホーテが一番のオススメ。土曜の夜に気兼ねなく見れる。シリーズのファンならアリアドネの弾丸は見逃せない。工藤新一への挑戦状は、原作ファンもミステリーファンもがっかりの内容。恐らく完成度の高い同人誌の方がクオリティに期待できる。ネタドラマをあら探ししながら楽しめる人向き。他はドングリの背比べ状態。お好みでどうぞ。テンペストジウは後日加筆します。