夏目友人帳がまた始まったよー!2011/07/06


今時アニメはたくさんありますが、10代~20代が対象のアニメが多い中、この「夏目友人帳」は主人公こそ高校生ですが、内容は年齢を問わず楽しめる良作。今回で3rd seasonとなるこのアニメ、原作はLaLaに連載中の少女漫画。舞台は現代の田舎町で、妖怪(この作品では-あやかし-と呼ぶ)が見えてしまう男子高校生・夏目が主人公。
夏目は同等かそれ以上の力を持ち、若くして死去した祖母・レイコの能力と、レイコが残したの名前が連なる「友人帳」なるものを受け継ぎました。この友人帳、単なる名前を書き残したものではなく、レイコが各地で戦って勝った相手のの名前が書いてあり、持ち主はそのを呼び出すことができるという不思議な力があります。名前を書かれたは、名前を返して欲しいと夏目の元を訪ねてきたり、友人帳そのものを奪いにきたりします。夏目は、おとなしい相手にはきちんと名前を返す儀式を行いますが、まだレイコのような力の使い方を知らないので、強いには歯が立ちません。
そんな時夏目の力になるのが、常にそばにいて彼に力を貸してくれる強力な「にゃんこ先生」です。本当はと言い、巨大な犬のような姿をした優美な妖怪なのですが、普段は丸っこい猫の格好をしているため、にゃんこ先生と呼ばれています。にゃんこ先生もまた、夏目の友人帳を狙っているのですが、友人帳夏目が死んでからでも奪えると言い放ち、今は夏目の養子先の家の飼い猫としてぬくぬくと暮らしているのです。この何とも緩いバディ関係がいいですね。
夏目の周囲はほとんど一般人なので、夏目のように普通にを見ることができる人間はいません。しかし、ある時から妖祓い人の家系で俳優をしている名取という男と知り合ったり、陣の中だけを見ることができる少女・多軌が同じ学校にいることがわかったりします。夏目名取を通じ、妖祓いの世界を知るのですが、妖祓いの世界ではは敵としてしか見なされず、祓うか使役するかのどちらかしか選択肢がありません。しかし夏目は心優しい、悲しみの深い、人間が好きななど、様々なに触れ、妖祓い人のやり方には疑問を感じています。
夏目は今でこそ優しい藤原夫妻の家で落ち着いて暮らしていますが、孤児だったため幼い頃からあちこちの家をたらい回しされた経験があり、また人に見えないものが見えることから気味悪がらることも多かったため、人間不信で孤独でした。そんな夏目が様々なに出会い、様々な思いに触れ、いろんな事件に巻き込まれたり、彼なりの解決法を見出しながら、精神的にも成長していく物語です。
原作が少女漫画なので、あまり派手なアクションシーンはありません。また舞台が田舎町なので登場人物も限られており、全体的にまったりのんびりとしたムードです。だがそこがいい。1st seasonと3rd seasonはエンディングが中康介なのですが、いつもちょっと切ないラストにこのエンディングがかぶさってくると、滂沱できます。特に1st seasonの曲はよかった…。また出てくるも、水木作品に出てくるような(というか水木作品に出てきたから有名になったような)メジャーな妖怪ではなく、この作品オリジナル?と思える多種多様なで、中には名前すらわからないものも結構います。
全体的には古きよき日本の姿、そして暗い所や人里離れた所が怖かった時代を髣髴とさせる、ゆったりとした、それでいてちょっと切ない感傷を味わえる良作、ハマる人はどっぷりハマれる作品だと思います。2nd seasonである「続・夏目友人帳」まではDVDも発売されていますので、こんな世界に興味がある人は見てみてはいかがでしょうか。ただ、少女漫画原作なので、出てくる若い男性が皆美形に見えるのはお許し願いたい。